行方不明

きのみきのまま

ぽぽぽぽぽぽとしか

ベッドが届かない。

 

ここ3ヶ月くらい機械として働いてきたがこのたびようやく人間に戻ることとなった。

「人間としてみなしています」と宣言するように上司は食べ物を与えてくれ、休みを取らせ、私はその時間を使って掃除をし、ものをあまり食べないという選択肢を取りつつ、やるべきことをなし今現在三分の二くらいは人間です。

ものを食べるというのはとても人間らしい行動だというように認識されているけれどどちらかと言えば動物っぽいと思うのはあまり食べるものに選択肢がないからだろうか。特定の場所にずっといると特定の物しか食べなくなるのでどうしても食事というものが生きるための・もしくは効率よく働くための義務みたいになってくる。

「食べることができない」ではなくあえて「食べない」という選択肢があることこそ人間らしいんじゃないかしら。ゆるやかな自殺みたい。おかげで栄養不足の頭でぼんやり恍惚に浸りながら休みを過ごしていた。

休みといってもたった3日のことなのだが。

 

午前中に届くよう手配していたベッドが届かない。もう12時を過ぎた。

 

機械のときならあることないことぺらぺら話せるんだが人間に戻ると途端に何を話せばいいのかさっぱり分からなくなってしまう。これ以上人間に戻らないほうがいいんじゃないか。機械でいるほうがずっと楽にうまくいきていける。

と、思うのを彼がいつも引き止めていてくれるのでまだ人間でいられる。

 

届くのは14時になるという。今日はちゃんと飯を食う。